ホン・サンス監督の作品は

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ホン・サンス監督の作品は

家庭にも学校にも恋愛にも居場所を見つけられない女子大生の恋愛模様と孤独を描いた、ホン・サンス監督作史雲遜 有效

※  ※  ※

ホン・サンス監督の作品は昨年『次の朝は他人』を見て以来。
『次の朝は他人』に妙な共感を覚えたので他の作品も見たいなあとずっと思っていたのですが、過去の作品を見る機会がなくて、結局新作のこの作品が2作目となりました。

日本公開は昨年(東京と大阪)だったようですが、福岡では年が明けてからの上映。それも23日で終わりです。
今作は『ソニはご機嫌ななめ』とセットで上映だったんですが(料金は別)、『ソニ~』のほうは時間があわずに見られませんでした。残念。
というわけで、『ヘウォンの恋愛日記』の感想を。

以下、ネタバレあり。


内容はシネマトゥデイさんから史雲遜

    家庭のある大学教授ソンジュン(イ・ソンギュン)と女子大生ヘウォン(チョン・ウンチェ)は、逢瀬を続ける関係を清算しようと考えていた。しかし、母親がカナダに移住することになり別れの寂しさに落ち込んだ彼女は、ついソンジュンに連絡してしまう。久々に会った二人が飲みに出掛けると、偶然クラスメートと鉢合わせてしまい……。

まあ、しょーもない話です。
帰国子女で韓国の「空気」に馴染めず、浮いた存在で周囲から距離を置かれている女子大生ヘウォン。空気が読めず、何でもかんでも馬鹿正直に物を言う癖があります。
そんな彼女の「周りと違う」ところに惹かれたソンジュン。ヘウォンが通う大学の教授です。
彼には一応「映画監督」という肩書もあるのですが、いかにも無能でつまらない映画を撮ってそうな、教授としての仕事もまともにできなさそうな、うだつが上がらない、全身から負のオーラが溢れているような男です。

そんな情けない男・ソンジュンに目がいきがちな作品なんですが、私はどうしてもヘウォンが気になって仕方ありませんでした。
人望も魅力もない彼女の姿に、まるで自分自身を見ているようでした(容姿は全く正反対ですけど)。
この映画って、(男にも女にも)モテない女性の孤独を描いた映画なんですね。
自分のことを真剣に考えてくれる恋人も友人も(家族さえも)いない、女性の。

ソンジュンの情けなさとか、二人の生産性のない会話(でもそれが真実で胸に突き刺さる。この映画の一番の魅力)とか、「ふふふ」と笑っちゃうんですけど、そうやってスクリーンの中の彼らを笑いながら、同時にずっと自分自身が笑われているような気分でもありました。
だんだんと痛々しさが増していくヘウォンに、自分がどんどん重なっていく。
途中で席を立ちたくなったくらい、見ているのがしんどかったです。彼女の態度にもすごくイライラしたし(同族嫌悪ってやつです)、夢のシーンなんてもう見てるこっちが羞恥心で頭をかきむしりたくなるくらいで。

映画はヘウォンの「現実」と「夢」を行ったり来たりしていましたが、私はヘウォンと自分の中を行き来していました奶粉 提升免疫力
そのせいか、私ではない人間(=ソンジュン)が出てくると、ホッとしました。
冷静さを失っていた私にとって、彼の存在は一種のオアシスのようでもありました。彼を見ていると、「映画を見ている」だけの状態に自分自身を引き戻すことができたんです。彼については共感も何もないし、他人事でいられるから。



ホン・サンス監督の作品は、表現方法が独特で、ヨーロッパ映画と比較して語られることも多く、映画の歴史の知識がないとわからない部分があるようです。(私には何がわからないのかわからない)
ただ、私みたいにヘウォンとソンジュンしか見てなくても楽しめる映画です。イライラするから、また見たいとは思わないですけど(笑)。でも、好きな作品です。

正直、かなりバカにされているように感じたんですけど(モテない女をdisってるのか!と。ま、自意識過剰です)、監督にはそういう意図はないんでしょうね。

というのは、チャップリンの言葉だそうですが、この映画を見ながら思い出したのは、「人生は喜劇」この言葉でした。あー、私の人生もこんなに滑稽なんだなあと。
ただ、チャップリンの言うように、人生を長い目で見た時には喜劇だと思えても、個々の出来事を思い出せば、笑って済ませることはできないものです。「笑い飛ばしたい」と思っていても。
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